
Suica・PASMO などの交通系ICカード
カード不足の解消、TOURIST PASMO の登場、そしてエリアをまたげないという最大の落とし穴まで、2026年時点の交通系ICカードを整理します。
交通系ICカードは、日本の移動でいちばん手数のかからない支払い方法です。ただし「1枚あれば日本中どこでも乗れる」という説明は、2024年以降そのままでは正しくありません。使える範囲と、つまずきやすい例外を先に押さえておきます。
交通系ICカードとは
あらかじめ現金を入金(チャージ)しておき、改札機やレジにタッチして支払うプリペイド式のカードです。切符を買い直さずに乗り降りでき、運賃の計算も自動で行われます。
全国相互利用サービスの対象は次の10種類です。Kitaca、PASMO、Suica、manaca、TOICA、PiTaPa、ICOCA、はやかけん、nimoca、SUGOCA。このうち1枚を持っていれば、参加しているエリアの鉄道とバスを同じカードで利用できます。
使いみちは運賃だけではありません。コンビニや自動販売機、多くのチェーン店で電子マネーとして使えます。残高と利用履歴はカードのまま確認・印字できます。

どこで買えるか
カード不足は解消している
ICチップ不足による発売停止は、すでに終わっています。経緯は次のとおりです。
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 2023年6月8日 | 無記名の Suica・PASMO の発売を停止 |
| 2023年7月31日 | 記名式カードの発売停止を発表 |
| 2024年9月1日 | 記名式の発売を再開 |
| 2025年3月1日 | 無記名の Suica・りんかいSuica・PASMO の発売を再開 |
再開の理由は「カード調達の計画が固まり今後も継続して供給できる見込みがたったため」と発表されています。2026年8月現在、記名式も無記名も購入できます。「いま Suica は買えない」と書かれた記事は、1年以上前の情報です。
販売場所は事業者ごとに異なります。特に PASMO は鉄道・バス会社によって扱いが違うので、利用する会社の案内を見てください。
訪日旅行者向けのカード
PASMO PASSPORT は終了しました(「好評につき完売」と案内されています)。後継として、2026年5月から TOURIST PASMO が発売されています。
| 項目 | TOURIST PASMO |
|---|---|
| 有効期間 | 購入日から28日間 |
| デポジット | なし。購入金額がそのまま残高になる |
| 払いもどし | 一切なし。未使用の残高も戻らない |
| 羽田空港(京急) | 第1・第2ターミナル駅の旅行者向け券売機、第3ターミナル駅の京急ツーリストインフォメーションセンターと隣接の券売機。1,000/2,000/3,000/4,000/5,000/10,000円。クレジットカード可 |
| 成田空港(京成) | 第1・第2ターミナル駅の SKYLINER & KEISEI INFORMATION CENTER。2,000円のみ |
紛失しても再発行はできません。買えるのは羽田と成田だけなので、関西など他の空港から入る場合は、通常の交通系ICカードを買うことになります。
JR東日本の Welcome Suica は、2025年2月の発表の時点で発売中と案内されています。有効期間や払いもどしの可否といった条件は改定されることがあるため、購入前に JR東日本の案内で確認してください。
Welcome Suica Mobile は2025年3月6日に提供が始まったアプリで、iPhone と Apple Watch 専用です(Android には対応していません)。チャージ残額の払いもどしは行われず、有効期間が終わると残高は失効します。
どこで使えて、どこで使えないか
使えるのは次のような場面です。
- 全国相互利用の対象エリアにおける鉄道・地下鉄・バスの運賃
- コンビニ、自動販売機、駅構内の売店など、交通系電子マネーの対応マークがある店
- 残高と利用履歴の確認・印字

いちばん多いつまずき
そのほかにも、知らないと戸惑う例外があります。
- PiTaPa は全国相互利用の電子マネーの対象外です(交通機関の利用のみ)
- 関東鉄道が扱うのは PASMO と Suica だけで、ほかの8種類は使えません
- オートチャージが働くのは PASMO エリアと Suica の各エリア(首都圏・仙台・新潟・青森・盛岡・秋田)に限られます
- 払いもどしと紛失時の再発行は、発行した事業者が自分のエリアで行います。大阪で Suica の払いもどしはできません
「日本中どこでも」ではなくなった
2024年11月15日、熊本の鉄道・バス5社が全国交通系ICカードの取り扱いを終了しました。機器更新に約12億円かかることが理由と報じられており、全国相互利用の枠組みから事業者が抜けたのは、これが初めてです。5社は2025年3月ごろからクレジットカードのタッチ決済を導入し、地域の「くまモンのICカード」も使われています。
地方へ足を延ばすときは、その事業者がどの支払い方法に対応しているかを先に調べておくと安全です。
チャージと残高の上限
チャージは駅の券売機やチャージ機、バスの車内などで、現金で行います。
一部のコンビニエンスストアのレジでもチャージできます。カードを店員に渡して「チャージ」と入れたい金額を伝えてください。支払えるのは現金だけで、すべての店が扱っているわけではないため、店頭の案内を確認してください。
残高の上限は20,000円です。これを超えるチャージは受け付けられません。TOURIST PASMO の案内では、バス車内でのチャージは1,000円札のみで、チャージ後の残高が10,001円以上になる場合は受け付けないとされています。

Apple Wallet に Suica を発行し、Apple Pay に登録したカードからチャージすることもできます。ただし JR東日本の Apple Pay 向けFAQは「クレジットカード(一部例外があります)」としか記しておらず、使えるブランドの一覧は示されていません。海外発行のカードが使えるかどうかは公表されていないため、現金でチャージできる手段も確保しておいてください。
残高が余ったら
カードの種類で扱いが違います。
- 通常の Suica・PASMO:発行した事業者の窓口で払いもどしができます。手数料やデポジットの扱いは事業者の案内で確認してください
- TOURIST PASMO:払いもどしは一切ありません。残高が残っても戻らないので、使い切るか、そのまま持ち帰ることになります
- Welcome Suica Mobile:チャージ残額の払いもどしは行われず、有効期間が終わると残高は失効します
これから変わること
Suica・PASMO のコード決済サービス「teppay」が発表されています。2026年8月時点ではまだ始まっていません。Mobile Suica では2026年秋、Mobile PASMO では2027年春の開始予定で、開始日は別途案内されるとされています。
teppay では、残高の上限20,000円を超える支払いをコード決済で行えるようになり、Mobile Suica と Mobile PASMO の利用者間で残高を送り合えるようになると説明されています。一方で、交通系ICの残高そのものを送ることはできず、teppay の残高を現金や銀行口座に引き出すこともできないとされています。運賃はこれまでどおり、交通系ICの残高から引かれます。
旅を軽くする一枚
車内や駅でのふるまいは日本の公共マナーに、体調を崩したときの連絡先は緊急時に困ったらにまとめています。
情報源
よくある質問
- いま Suica や PASMO は買えますか?
- 買えます。記名式は2024年9月1日、無記名は2025年3月1日に発売が再開されました。「カード不足で買えない」という情報は1年以上前のものです。
- 1枚あれば日本中どこでも乗れますか?
- いいえ。全国相互利用は10種類のカードで成り立っていますが、エリアをまたぐ1回の乗車には使えず、2024年11月には熊本の5社が取り扱いを終了しています。
- PASMO PASSPORT はまだありますか?
- 終了しました。後継として2026年5月から TOURIST PASMO が羽田・成田の限られた窓口で発売されています。有効期間は購入日から28日間で、払いもどしはありません。
- 残高はいくらまで入れられますか?
- 20,000円が上限です。上限を超えるチャージは受け付けられません。
- 海外発行のクレジットカードでチャージできますか?
- Apple Pay 経由のチャージについて、JR東日本のFAQは「クレジットカード(一部例外があります)」としか示しておらず、ブランドの一覧は公表されていません。現金でチャージできる手段も用意しておくと安全です。