ガイド
旧金毘羅大芝居(別名:金丸座)は、香川県琴平町にある、現存する中では日本最古の芝居小屋です。1835年(天保6年)に完成したこの劇場は、国の重要文化財にも指定されており、江戸時代の芝居小屋の雰囲気を今に伝える貴重な文化遺産です。かつて金刀比羅宮への参拝客を楽しませていた歴史を持ち、現在は春に開催される「四国こんぴら歌舞伎大芝居」などの定期公演を通じて、日本の伝統芸能である歌舞伎を伝える重要な役割を担っています。
江戸時代、金刀比羅宮への参拝客が集まる琴平の門前町では、芝居や相撲、人形浄瑠璃などの興行が盛んに行われていました。この芝居小屋は、大坂の芝居を参考に建設され、江戸・大坂の著名な役者たちが舞台を踏んだ歴史を持ちます。明治以降、名称や用途が変化し、一度は廃屋のような状態となりましたが、文化財としての再評価が進み、1976年に現在の場所へ移築・復元されました。2003年には「平成の大改修」が行われ、江戸時代の仕掛けである「ブドウ棚」や「かけすじ」が復元され、より当時の姿に近い状態で保存されています。
劇場の随所に江戸時代の息吹を感じることができます。役者が舞台から客席へと進む「花道」や、役者がせり出してくる「スッポン(切穴)」、場面転換に使用される「廻り舞台」など、伝統的な舞台装置を間近に見学できるのが大きな魅力です。また、天井部に格子状に組まれた「ブドウ棚」や、役者を宙吊りにするための装置「かけすじ」など、歴史的な仕掛けも必見です。公演が行われていない日でも、舞台裏や楽屋、舞台下の「奈落」など、通常の観劇では立ち入れない場所まで見学できる貴重な機会があります。
毎年春に開催される「四国こんぴら歌舞伎大芝居」の時期が最も特別な体験となります。この時期には、日本を代表する歌舞伎俳優たちが集い、迫力ある演舞を披露します。また、金刀比羅宮の成功祈願祭に合わせて、役者が人力車に乗って町内を練り歩く「お練り」が行われることもあり、地域一体となった伝統行事を楽しむことができます。
公演期間中には、歌舞伎の演目とともに、特製の観劇弁当や菓子を楽しめる席も用意されています。また、観劇の思い出として、公演期間中に募集される俳句への挑戦も可能です。選ばれた句は、翌年の金丸座の掲示板に掲示されるという伝統があります。日常の観光では、歴史的な建築物としての側面を深く掘り下げた、江戸時代の劇場構造の学習・見学体験が可能です。
劇場のすぐ近くには、金刀比羅宮や香川県立琴平公園があります。また、歴史的な展示を行っている「琴平町立歴史民俗資料館」も近く、歌舞伎の歴史をより深く理解するのに適しています。周辺には、うどん学校などの体験施設もあり、歴史散策と合わせて楽しむことができます。
公演が行われていない一般開館日には、舞台や楽屋、舞台下の奈落、さらには楽屋風呂まで見学することが可能です。文化財を保護するため、施設内では湿度や温度の管理が厳格に行われています。施設内の詳細は、公式サイト等で事前にご確認ください。