ガイド
犬山城の東に位置する「有楽苑」は、昭和を代表する建築家、堀口捨己氏の監修によって築造された美しい日本庭園です。苑内には、現存する国宝茶席三名席の一つである「如庵(じょあん)」をはじめ、重要文化財の「旧正伝院書院」、古図に基づき復元された「元庵」、そして茶会のために建てられた「弘庵」など、歴史的価値の高い建築物が点在しています。織田信長の弟である織田有楽斎ゆかりの地として、静寂の中で日本の伝統美を深く味わえる場所です。
この地には、茶の湯の創成期に尾張の国が生んだ大茶匠、織田有楽斎の歴史が刻まれています。国宝である茶室「如庵」は、もともと京都の建仁寺に創建されたものですが、昭和47年(1972年)に名古屋鉄道により現在の犬山城東の地へ移築されました。有楽苑は、如庵が京都にあった時代の庭園風景を可能な限り再現するように整備されており、有楽斎の波瀾に満ちた生涯を映し出すかのような、奥深い趣を持っています。
柿葺(こけらぶき)の端正な外観が特徴的な、非常に貴重な茶室です。内部には「有楽窓」と呼ばれる独特の窓や、斜めの壁(筋違いの囲)など、随所に独創的な工夫が施されています。普段は非公開ですが、特別見学会の際にはその精緻な内部構造を拝見することができます。
元和4年に如庵に隣接して建てられた、有楽斎の隠居所です。入母屋造の温和な外観を持ち、南側の主室は茶座敷としてもふさわしい格調高い構えとなっています。内部に残る長谷川等伯や狩野山雪による襖絵は、美術史的にも極めて貴重な資料です。
「元庵」は、有楽斎がかつて大阪・天満に構えていた茶室を、古図に基づいて復元したものです。三畳台目の奥深い間取りが特徴です。また、「弘庵」は四季折々の茶会のために新築された茶席で、水琴窟(すいきんくつ)の仕掛けがあり、響き渡る風雅な水音を楽しむことができます。
有楽苑では、四季折々の美しい景観を楽しむことができます。特に紅葉の時期には、庭園が鮮やかに彩られ、訪れる人々を魅了します。日中の明るい時間帯には、美しい庭園の色彩と建築の細部を、夕刻に近い時間帯には、より静寂な雰囲気の中で茶の湯の世界に浸ることができます。
弘庵では、日常の来苑時に「呈茶サービス」を利用することができます。一杯の抹茶を通じて、心まで落ち着いていくような贅沢な時間を体験できます。お庭の景色を眺めながら、日本の伝統的なおもてなしを感じてください。
普段は目にすることのできない国宝「如庵」の内部を見学できる特別プログラムが開催されることがあります。歴史的な建築の細部や、茶室の構造を間近に学べる貴重な機会です。