
ガイド
トラピスト修道院は、北海道北斗市に位置する「厳律シトー会(トラピスト)」に属する男子修道院です。1896年の創立以来、北海道の地で信仰と労働の伝統を守り続けてきました。赤茶色のレンガ造りの重厚な建築は、ゴシック様式のデザインを取り入れており、訪れる人々を歴史の深みへと誘います。ここでは、静寂の中で祈りを捧げる修道士たちの生活の息吹を感じることができ、修道院で作られた特製のバターやソフトクリームといった、食を通じた文化的な魅力も併せ持っています。
修道院の歴史は、1891年の函館教区発足に遡ります。1896年には創立修道院が開院され、「灯台の聖母修道院」と命名されました。創立当初は石だらけの荒野での農地開拓から始まり、1903年の火災による建物焼失などの困難を乗り越えてきました。また、日本の近代文学において重要な役割を果たした詩人・三木露風が、初代修院長・岡田普理衛の要請により着任したことも歴史的な事実です。露風は、この地で「赤とんぼ」や「野ばら」などの名作を執筆しました。このように、宗教的な精神性と日本の近代文化が交差する、非常に深い歴史を持つ場所です。

最大の魅力の一つは、フランスで中世に制作された貴重な十二使徒のステンドグラスを擁する「当別リタ教会」です。アーチ型の窓から差し込む光と、美しい色彩のステンドグラスが織りなす空間は、訪れる者に深い感動を与えます。また、修道院の敷地内には、高い針葉樹が並ぶ美しい並木道や、手入れの行き届いた庭園が広がっており、歴史的なレンガ造りの建築物とともに、フォトジェニックな景観を楽しむことができます。修道士たちの生活の伝統に基づいた、静謐で荘厳な建築美は必見です。
修道院の売店およびソフトクリームの営業時間は、季節によって異なります。3月から12月24日までは9:00〜17:00、10月16日以降は8:30〜16:30となっています。季節ごとに表情を変える自然の中で、季節限定の味わいを楽しむことができます。また、毎週日曜日の午前8:45からは、当別リタ教会にてミサが行われています。修道院の神父による司式のもと、伝統的な祭儀を体験できる貴重な時間です。

ここでは、修道院の伝統に根ざした「食」の体験が楽しめます。特に、乳酸菌で発酵させた香りと味わりが豊かな「トラピストバター」や、修道院特製のソフトクリームは、多くの訪問者に愛されている名物です。これらは修道院内の売店で購入することができ、歴史的な景観の中で味わう特別な体験となります。また、宗教的な背景に興味がある方は、ミサへの参加を通じて、厳格な修道生活の精神に触れることができます。
修道院の周辺は、歴史的な背景を持つエリアです。かつて三木露風が居住していた場所もあり、文学的な足跡を感じることができます。また、修道院の歴史を支えた酪農のルーツについても、この地域の発展を知る上で重要な要素となっています。周辺には、自然と歴史が調和した静かな環境が広がっています。
修道院は祈りの場であるため、訪問の際は敬意を持った行動が求められます。服装については、過度に露出の多い服は避け、落ち着いたスタイルを心がけてください。支払いは、売店での利用にあたり、現金またはクレジットカード(Visa・MasterCard等)が利用可能です。ミサへの参加を希望される方は、事前に宗教的なマナーを確認しておくことが望ましいでしょう。また、撮影については、神聖な儀式やミサの最中には制限がある場合がありますので、周囲の状況を確認してください。バリアフリーについては、一部に段差がある箇所があるため、車椅子を利用される際はご注意ください。