ガイド
栃又の棚田は、宮崎県高千穂町の深い渓谷に位置する、非常に美しい景観を持つ棚田です。この地域は、祖母山系のふもとを水源とし、河川の浸食作用によって形成された深い渓谷の両岸に広がっています。右岸側に位置するこの棚田は、日本の原風景として後世に残すべき貴重な文化遺産です。2015年12月には、世界農業遺産「高千穂郷・椎葉山地域」の一部として認定されており、その景観の価値は世界的に認められています。また、日本の棚田百選にも選ばれており、訪れる人々を圧倒する美しい景観が守られています。
この棚田の歴史は、明治末期から大正初期の頃に遡ります。人々が険しい地形の中で、河川上流の渓谷沿いに築いた用水路を通じて、苦心しながらも水を引き入れ始めたことが始まりです。急峻な山腹に水を確保するために造られた用水路は、今もなお地域の農家の方々によって大切に維持管理されています。また、この地域では自然を敬い、自然との調和を重んじる精神が深く根付いています。毎年の五穀豊穣と集落の安寧を祈念して行われる「高千穂の夜神楽」などの伝統文化を通じて、自然と共に生きる知恵と文化が今も大切に受け継がれています。
最大の魅力は、幾重にも重なる棚田が織りなす幾何学的で美しい景観です。深い渓谷の地形を活かして築かれた棚田は、季節ごとに異なる表情を見せます。特に、水が張られた時期の棚田は、周囲の山々や空を映し出す鏡のような美しさを見せ、訪れる人々を魅了します。自然の厳しさと、それを克服してきた人々の営みが作り上げた、力強くも繊細な景観は、まさに圧巻の一言です。
周辺には、高千穂の魅力をさらに深く知ることができるスポットが点在しています。地元の特産品や新鮮な農産物を手に入れられる「道の駅高千穂」や、新鮮な野菜や加工品が揃う「高千穂がまだせ市場 鬼八の蔵」などは、お土産選びに最適です。また、廃線となった高千穂鉄道の一部を活用して観光トロッコ列車を走らせている「あまてらす鉄道」もあり、高千穂の自然をより身近に感じることができます。