
ガイド
湧水庭園「四明荘」は、長崎県島原市にある、豊かな湧水を活用した歴史的な和風建築と庭園です。明治後期から大正初期にかけて、当時の開業医であった伊東元三氏が別邸として建築しました。この建物は、四方の眺望が優れていることから「四明荘」と名付けられています。庭園には一日約3,000トンもの清水が湧き出ており、透明度の高い池には色とりどりの錦鯉が泳いでいます。周囲を豊かな緑に囲まれたこの場所は、日本の伝統的な美意識と自然の恵みが融合した、非常に情緒豊かな空間です。
四明荘の歴史は、明治後期から大正初期に遡ります。建築主である伊東元三氏は、医業に携わりながら島原町会議員も務めた人物です。庭園については、昭和初期に禅僧を招いて作庭されたという伝承があります。建物自体は、平成26年4月25日に国の登録有形文化財に指定されました。また、庭園も2008年に国の登録記念物に登録されています。長年、市民に親しまれてきたこの邸宅は、島原の「水」の文化を象徴する重要な文化遺産として、大切に保存・公開されています。

最大の魅力は、池に面して設計された和風建築の造りです。座敷の正面と左側面が池に向かって張り出した「縁側」の構造となっており、一段高い屋敷から庭園を見下ろすことで、建物と庭園が一体となった独特の景観が広がります。池の中には四つの中島があり、水辺の景観を豊かにしています。また、池の底には砂が敷かれ、沢飛石が配置されるなど、細部まで手入れが行き届いた池泉庭園が見どころです。建物には、木造の平屋建て(一部2階建て)で、瓦葺きの屋根や、細い木柄を持つ「宝形造」の表門など、伝統的な建築様式が随所に施されています。
四明荘は、年間を通じて豊かな自然を感じられる場所です。庭園にはアカマツやカエデ、スギゴケなどが植えられており、季節ごとに植物の表情が変化します。特に、澄んだ湧水と錦鯉の動きは、日中の明るい時間帯に観察しやすい景観です。開館時間は9:00から18:00までとなっており、休館日は設定されていません。
ここでは、日本の伝統的な建築様式である「数寄屋造り」の空間に身を置き、静寂の中で庭園を眺める体験ができます。和室の畳敷きの空間からは、池や緑豊かな樹木を眺めることができ、日本の伝統的なリラクゼーションを感じる環境が整っています。錦鯉が泳ぐ池の透明度の高さは、この場所ならではの特徴です。
四明荘は、島原市の「鯉の泳ぐまち」と呼ばれるエリアの一角に位置しています。周辺には、観光交流センター「清流亭」もあり、地域の歴史や文化に触れることができます。島原市内の他の観光スポットと合わせて、湧水文化を巡る観光ルートの一部として訪れることができます。
庭園内を歩く際は、足元に注意してください。敷地内には石畳や砂敷きのエリアがあります。服装は、歩きやすい靴が適しています。支払いは、入場券を入口の券売所で購入する形式となっており、現金での支払いが基本となります。また、カメラマンとして撮影を行う場合は、別途料金が必要となるため注意が必要です。庭園の静かな環境を維持するため、マナーを守って散策してください。