
ガイド
三段峡は、広島県安芸太田町および北広島町を流れる太田川水系の柴木川流域に位置する、総延長約16kmの峡谷です。国の特別名勝に指定されており、日本百景や日本紅葉の名所100選にも選ばれている、西中国山地国定公園を代表する景観の一つです。エメラルドグリーンの清流、ダイナミックな滝、そして険しい岩壁が織りなす景観は圧巻であり、自然の造形美を存分に感じることができます。
この地の歴史は、1917年(大正6年)に地元写真家の熊南峰が、小学校教師の斎藤露翠とともに、この峡谷の景観を世に広める活動を始めたことに始まります。これが三段峡の開峡の年とされています。また、三段峡という名称については、三段滝に由来するという通説がありますが、熊南峰が『松落葉集』の「三峨・三峡」を引用して名付けたという説もあります。2017年には開峡100周年を記念する行事も行われました。

三段峡には、数多くの見どころとなるスポットが存在します。特に「五大景観(壮観)」と呼ばれる三ツ滝、三段滝、黒淵、猿飛、二段滝は、この峡谷の美しさを象徴する場所です。さらに、竜ノ口や竜門を加えた「七景」と呼ばれる景観も有名です。
例えば、「竜ノ口」では急流によって岩盤が竜のように蛇行しながら浸食されており、上流部では轟音とともに水しぶきが舞う迫力ある光景が見られます。また、「ぐるの瀬・塔岩」では、高さ60メートルの巨大な塔である塔岩がそびえ立ち、その傍らには樹齢150年を超える杉松が自然の厳しさを物語るように存在しています。「女夫淵(みょうとぶち)」や、姉妹滝といったスポットも、美しい水の流れを楽しむことができる重要な景観です。
三段峡は四季折々の表情を見せます。特に紅葉の名所としても知られており、秋には周囲の山々が鮮やかに色づき、渓谷の色彩を一層引き立てます。春から夏にかけては、豊かな水量とエメラルドグリーンの清流が美しく、自然のエネルギーを感じることができます。季節ごとに異なる自然の表情を楽しむために、訪れる時期を検討することをおすすめします。

自然地形としての景観を楽しむことが中心となります。遊歩道を歩きながら、断層や破砕帯によって形成された複雑な地形や、岩の間を縫うように流れる水の動きを観察できます。例えば、ぐるの瀬付近では、遊歩道を進むことで谷へ吸い込まれるようなスリルを感じる景観を楽しむことができます。また、自然の造形を間近で見ながらのハイキングや散策が、この場所の醍_験できる主要な活動です。
三段峡の周辺には、帝釈峡などの他の景勝地もあり、西中国山地国定公園の豊かな自然環境が広がっています。また、安芸太田町周辺には、地域の自然を活かした観光資源が多く、自然散策の後に周辺の風景を楽しむことができます。

自然の中を歩くため、動きやすい服装と歩きやすい靴(トレッキングシューズ等)が必須です。足場が不安定な場所や、水辺の近くを歩く場面があるため、安全に配慮した準備をしてください。