
ガイド
龍岡城は、長野県佐久市田口に位置する、幕末期に築城された日本の城跡です。龍岡藩(田野口藩)の藩庁が置かれていた場所であり、日本に二つしかない五芒星形の星形要塞の一つとして知られています。北海道の函館五稜郭と並び、非常に珍しい形状を持つことから「龍岡五稜郭」や、桔梗の花に例えて「桔梗城」とも呼ばれます。現在は国指定史跡となっており、当時の設計思想を伝える遺構が残されています。
龍岡城は、幕末の時期に築城されました。かつては1万6千石の小藩である龍岡藩の拠点でしたが、城主の格式が認められなかったため、正式には「田野口陣屋」と呼ばれていました。廃城後の歴史も非常に特徴的です。城内の多くの部分は農地へと転用され、御台所(おだいどころ)はかつて農機具の倉庫として活用されていました。また、1875年(明治8年)以降、御台所は小学校の校舎として使用されていた時期もあります。このように、軍事拠点から農業、教育の場へとその役割を変えながら、地域の歴史と共に歩んできました。現在、城の周辺には、かつての御殿の建物の一部が、それぞれ別の寺院や神社、個人宅へと移築されて現存しており、城の構成要素がどのように地域社会へ溶け込んでいったかを知る手がかりとなっています。

現在の城跡には、稜堡式(りょうほしき)の石垣や水堀、そして御台所の遺構が残されています。これらの構造は、当時の高度な築城技術を今に伝える貴重な資料です。また、城の北西には枡形の遺構も確認でき、防御のための緻密な設計を観察することができます。かつて小学校の敷地として使用されていたため、敷地内には学校施設に関連する歴史も残っています。さらに、城の北側には中世の田口城址があり、そこからは龍岡城の全景を見渡すことができるエリアも整備されています。ドローンによる空撮については、佐久市役所の許可を得ることで、この特徴的な形状を真上から確認することが可能です。
龍岡城は、現在は自由見学が可能なエリアとなっています。季節を問わず、歴史的な遺構を散策することができます。特に、周辺の環境が落ち着いた時間帯には、かつての城郭の雰囲気をより深く感じることができるでしょう。また、城の北側にある展望エリアからは、周辺の景色とともに城の構造を俯瞰することができます。季節によって周囲の景観は変化しますが、歴史的な遺構としての魅力は年間を通じて楽しむことができます。

城跡の周辺には、歴史をより深く理解するための施設が点在しています。大手門前にある「佐久市歴史の里五稜郭であいの館」では、龍岡城に関する貴重な資料が展示されており、歴史の学習に最適です。また、予約を行うことで、御台所の内部を見学することも可能です。これにより、かつての生活や建築の細部を間近で見ることができます。さらに、城の近くには、当地出身の彫塑家である川村吾蔵の作品を展示する「川村吾蔵記念館」もあり、地域の文化に触れることができます。
龍岡城の周辺には、歴史的な繋がりを持つ場所が多く存在します。例えば、御殿の中心であった大広間は、現在は佐久市鳴瀬落合の時宗寺の本堂として移築されています。また、東通用口は佐久市野沢の成田山薬師寺の門として、薬医門や塀は新海三社神社へ向かう道沿いの個人宅に移築されています。このように、城のパーツが地域の寺社や民家に受け継がれている点は、この地域特有の文化的な景観を作り出しています。また、城の北側には中世の田口城址があり、標高差約160mを上る道が整備されています。

城跡の見学にあたっては、以下の点にご注意ください。