
ガイド
能登半島の北端、輪島市の端に位置する大沢町および上大沢町には、独自の景観が広がっています。この地域では、急峻な山と日本海に挟まれた狭い平地に集落が形成されています。最大の特徴は、集落を囲むように配置された「間垣(まがき)」と呼ばれる竹製の垣根です。この景観は、自然環境に適応してきた人々の知恵を伝えており、平成27年に国の重要文化的景観に選定されました。
この地域では、古くから海からの強い季節風から家々を守る必要がありました。その対策として、高さ約5mに及ぶ「ニガタケ」という細い竹を縦に差して組んだ間垣が作られてきました。この間垣は、夏には適度な日陰を作り、冬には冷たい強風を防ぐという、季節に応じた機能的な役割を果たしています。また、背後の山々で行われる棚田での農業と、前面に広がる海での漁業を組み合わせた「半農半漁」の生活様式が、この地の文化的な基盤となっています。

集落のあちこちで見られる、竹を組んだ間垣の街並みが最大の注目点です。自然の地形に沿って配置された家々と、それを守る竹垣の景観は、能登の里山里海の暮らしを象徴しています。また、背後の山々に広がる棚田や、入り江に位置する港の風景も、この地域の生活と密接に関わっています。自然と人工的な構造物が一体となった景観を、集落の周辺から眺めることができます。
この地域は、季節によって異なる表情を見せます。4月から6月にかけては、棚田や周囲の植物が青々と茂る時期であり、自然の色彩が豊かです。また、10月から11月にかけても、季節の移り変わりとともに景観の変化を楽しむことができます。日中は明るい光の中で竹垣の質感や地形の起伏が明確になり、夕刻には海に沈む夕日とともに、集落が穏やかな雰囲気に包まれます。

ここでは、能登特有の生活様式を視覚的に理解することができます。間垣がどのように風を防ぎ、生活を守ってきたのか、その構造を間近に見て回ることが可能です。また、周囲の自然環境を背景とした散策を通じて、日本の伝統的な集落のあり方に触れることができます。
輪島市内の他の文化的景観や、能登半島の海岸線沿いの集落が周辺に広がっています。能登半島観光のルートの一部として、周辺の漁村や伝統的な建築物が残るエリアを巡ることも可能です。

集落内は自然な地形や未舗装の場所が含まれるため、歩きやすい靴での訪問が適しています。また、集落は現在も人々が生活している場所であるため、プライバシーや生活環境への配慮が必要です。支払いや詳細な施設情報は、現地の看板や案内を確認してください。