ガイド
甌穴(おうけつ)は、群馬県中之条町の四万温泉エリアに位置する、自然が作り出した驚異的な造形美です。川の流れが渦巻き状になることで、石や砂が同じ場所を循環し、川底の岩盤を侵食してできた丸い穴(ポットホール)の総称です。数万年という膨大な時間をかけて自然が彫り上げたこの「大彫刻」は、まさに自然の芸術品といえます。四万川の清らかな水の色と、削り取られたような独特な形状の岩肌が織りなす風景は、訪れる人々を圧倒する魅力を持っています。
この甌穴は、その希少性と美しさから群馬県の指定天然記念物に登録されています。かつてはダムができる前、四万川の河原は子供たちの水遊び場としても親しまれていました。この場所の価値を広めるきっかけとなったのは、かつての県議会議員であった関善平氏です。彼は岡山県の奥津渓谷にある天然記念物を視察した際、四万川にも同様の素晴らしい景観があることに気づき、調査を依頼しました。その後、地元の熱心な調査や申請を経て、1971年(昭和46年)に群馬県指定天然記念物として正式に認められました。歴史と自然が一体となった、地域に根ざした貴重な遺産です。
最大の魅力は、大小さまざまなサイズの穴が点在する岩肌です。はっきりと確認できるものだけでも、直径23cmから1.5m、深さ35cmから1.5mといった規模の穴が多数存在します。さらに大きなものになると、直径45cmから2.9m、深さ40cmから1.5mに達するものもあり、そのスケールの大きさに驚かされることでしょう。中流から下流にかけて、円形の穴が連なるように繋がっている箇所もあり、自然の力強さを感じさせます。また、途中の滝の部分では、穴の内部と同様に、まるで磨き上げられたかのような滑らかな岩肌を観察することができます。
甌穴の周辺には、四万温泉ならではの魅力的なスポットが多数あります。例えば、美しい滝が見られる「麻耶の滝」や「小倉の滝」、そして「小泉の滝」などは、四季折々の自然を楽しむのに最適です。また、自然の中でリフレッシュできる「薬王園」や、地元の文化に触れられる「たけやま館」など、散策や体験を楽しめる施設も充実しています。観光の後は、甌穴の入口にある「森のカフェKISEKI」で、有機栽培の豆を使用した香り高いコーヒーや、地元産のパンと共にゆったりとした時間を過ごすのもおすすめです。