
ガイド
根香寺(ねごろじ)は、香川県高松市にある四国八十八ヶ所霊場の第82番札所です。天台宗単立の寺院であり、五色台の主峰である青峰(あおみね)の中腹に位置しています。この地は、弘法大師(空海)が密教の修行にふさわしい場所として見出したとされる、非常に格式高い聖地です。名称の由来は、かつてこの地に存在した香りの強い霊木に由来しており、古くから訪れる人々に清々しい空気と歴史の重みを感じさせてくれます。自然豊かな景観と深い歴史が融合した、精神的な安らぎを得られる場所です。
寺院の歴史は、弘法大師(空海)の時代にまで遡ります。弘仁年間(810年 – 824年)に空海がこの地を訪れ、五色台の五つの峰に金剛界の五智如来を感得したと伝えられています。空海は、この地を密教の修行にふさわしい台地であるとし、青峰に「花蔵院」を建立して五大明王を祀りました。その後、智証大師(円珍)が天長9年(832年)に訪れた際、山の鎮守である市之瀬明神の化身から、香りの強い霊木を用いて観音像を彫るよう告げられ、「千手院」を創建しました。この香木から放たれる香りが、寺院の名を「根香寺」としたと言われています。歴史の中で一度は戦火に遭いながらも、高松藩の初代藩主である松平頼重によって再興されました。現在は、天台宗の寺院として大切に守り継がれています。

境内には、歴史を感じさせる多様な建築物や石像が点在しています。本尊は千手観世音菩薩であり、本堂では33年に一度の開帳が行われる秘仏を拝むことができます。また、山門(仁王門)をくぐり、石段を上がった先にある本堂や、大師像を祀る大師堂、五大尊を祀る五大堂など、それぞれに深い信仰の対象があります。また、境内には「牛鬼伝説」に関連する石像や掛け軸も伝わっており、地域の伝説に触れることができます。さらに、かつて樹齢1,600年とも言われた「白猴欅(はっこうけやき)」の跡地も、この地の歴史を物語る重要な要素の一つです。
根香寺は、季節ごとに異なる表情を見せる自然豊かな寺院です。特に秋(10月〜11月頃)は紅葉の名所として知られており、色鮮やかな紅葉が境内を彩ります。この時期は非常に多くの参拝客が訪れるため、混雑が予想されます。参拝時間は午前7時から午後5時までとなっており、早朝の清々しい空気の中で参拝することで、より一層静謐な雰囲気を感じることができます。ただし、紅葉シーズンには駐車場が混雑し、周辺道路が渋滞することもあるため、時間に余裕を持って訪れることをおすすめします。

ここでは、四国遍路の文化を肌で感じることができます。第82番札所として、お遍路さんが一歩ずつ歩を進める修行の場としての空気感を体験できます。また、境内には「牛鬼伝説」に関連する展示や石像があり、日本の伝統的な妖怪や伝説に触れることができます。歴史的な石段を上り、本堂へ向かうプロセス自体が、精神を整える貴重な体験となります。静かな環境の中で、自身の内面と向き合う瞑想のような時間を過ごすことができるでしょう。
根香寺が位置する五色台周辺は、自然豊かなエリアです。高松市街へのアクセスも良く、観光の拠点としても適しています。また、香川県の名物である「うどん」を楽しめる施設や、宿泊施設なども点在しており、遍路のルートに沿った旅の行程に組み込みやすい立地です。周辺の自然環境を楽しみながら、歴史的な寺院巡りと合わせて楽しむことができます。

参拝にあたっては、以下の点にご注意ください。