
ガイド
水の教会(Chapel on the Water)は、北海道勇払郡占冠村の星野リゾート トマム内にあるチャペルです。世界的な建築家である安藤忠雄氏によって設計されました。この建築の最大の特徴は、自然を「切り取る」というコンセプトにあります。白樺の森に囲まれた敷地は、巨大な「L」字型のコンクリート壁によって仕切られており、そこから一歩足を踏み入れると、日常から切り離された非日常的な空間が広がります。水、光、風、緑といった自然の要素が建築の一部として組み込まれており、訪れる人々を包み込む独特の雰囲気を持っています。
本建築は、1990年に第31回BCS賞を受賞しており、日本の現代建築における重要な作品の一つとして知られています。安藤忠雄氏の設計思想に基づき、「あるがままの自然を、人間の意志によって切り取った空間」を目指して造られました。この場所は、単なる結婚式のための施設としてだけでなく、自然と対話するための空間として構築されています。また、その美しい景観から、BoAのミュージックビデオの撮影が行われるなど、文化的な側面からも注目を集めてきました。

最大の注目点は、礼拝堂の構造です。四方をガラスで囲まれた空間は、周囲の自然風景をダイレクトに映し出します。祭壇には水深15cmほどの水が湛えられており、その水面に浮かぶ十字架が、光や風によって揺らめく様子は非常に印象的です。また、屋上には鉄筋コンクリート製の4本の十字架が配置されており、トップライト(天窓)から降り注ぐ光が、内部の空間に劇的な表情を与えます。アプローチから教会内部へと進む過程で、視界が開けていく建築的な演出も、この場所ならではの見どころです。
水の教会は、訪れる時間帯や季節によって異なる表情を見せます。朝の時間は、清々しい空気と小鳥のさえずり、風の薫りを感じられる「朝さんぽ」の時間として推奨されています。一方、夜の時間帯は、キャンドルの光が水面に映える幻想的な雰囲気が楽しめます。季節としては、白樺の森が鮮やかな緑に包まれる夏や、澄んだ空気を感じられる季節が特におすすめです。雨の日には、雨滴が水面に落ちる音が静かに響き、より一層の静寂を感じることができます。

ここでは、建築の美しさを体験するための特別なプログラムが用意されています。例えば、「朝の教会見学」では、自然の光の中で静かな時間を過ごすことができます。また、夜にはキャンドルを用いた演出が行われることもあり、光と影が織りなす空間美を堪能できます。これらは、単なる見学を超えて、自然の一部となるような体験を提供します。なお、結婚式などのイベントが行われる場所であるため、見学の際は提供されているスケジュールを事前に確認することが重要です。
水の教会は、星野リゾート トマムの敷地内に位置しています。トマムエリア全体が北海道の大自然に囲まれており、周辺にはリゾートホテルや、季節に応じたアクティビティを楽しめる施設が集まっています。季節によっては、氷の教会(Ice Chapel)など、季節限定の特別な建築物も展開されており、トマムでの滞在を通じて北海道の四季折々の美しさを多角的に楽しむことができます。

建築見学を行う際は、自然の中を歩くことになるため、歩きやすい靴での訪問が適しています。また、教会という性質上、静かに空間を楽しむためのマナーが求められます。撮影については、エリアや時間帯によって制限がある場合があるため、現地の案内を確認してください。なお、建築見学については、朝や夜の特定の時間帯に設定されていることが多く、予約不要で訪れることができますが、挙式等のイベントが行われている場合は、立ち入りが制限されることがあります。