
ガイド
的山荘(てきざんそう)は、大分県日出町の歴史的な場所に位置する、かつての成清家別邸です。大正4年、馬上金山で富を築いた成清博愛によって建てられました。約3,670坪という広大な敷地には、別府湾や高崎山を借景とした庭園が広がり、日本の近代和風建築の意匠を今に伝えています。現在は料亭として、地元の新鮮な食材を用いた懐石料理を提供する場となっています。
この場所は、日出藩日出(暘谷)城の三ノ丸跡に位置しています。大正時代に別荘として建設された後、昭和39年には成清博愛の孫である成清信輔氏によって料亭として開業されました。以来、城下かれいを扱う料亭として全国的な知名度を持ち、皇族や多くの著名人が訪れる場所として、地域の歴史と食文化を象徴する存在となっています。

建築物としての価値も高く、江戸時代以降の伝統的な手法を残した意匠が随所に見られます。桟瓦葺きの腕木門(うでぎもん)や、玄関の式台、書院の座敷飾り、欄間の彫刻などは、当時の高度な建築技術を反映しています。また、庭園内には皇族による記念植樹が8本あり、自然と人工の美が調和した空間が広がっています。別府湾を一望できる景観も、この場所の大きな特徴の一つです。
庭園内は季節ごとに変化する木々を楽しむことができます。春や秋には、自然の色づきが庭園の景観に彩りを添えます。庭園内は散策が自由となっており、日中の明るい時間帯には、高崎山を築山に見立て、別府湾を泉水に見立てた借景庭園の造形を詳細に観察できます。また、季節に応じた食材(関アジ、関サバ、城下かれいなど)を楽しむための、食事の時間帯に合わせた訪問も特徴的です。

ここでは、大分県ならではの地産地消をテーマとした懐石料理の提供が行われています。特に「城下かれい」は、海底に真水が湧き出る特有の環境で育つ貴重な食材として知られ、美食家にも選ばれてきた逸品です。その他、ブランド和牛を用いた鉄板懐石や、関アジ・関サバを用いた料理など、日本の食文化を深く知る体験が可能です。また、最大40名まで収容可能な大広間や個室があり、日本の伝統的な空間での食事体験ができます。
日出町(ひで)周辺は、歴史的な風情が残るエリアです。近くには高崎山や別府湾があり、自然豊かな景観が続いています。また、大分空港からも車でアクセスしやすい場所にあり、周辺の観光と組み合わせて訪れることができます。
庭園の散策や建築の見学、および食事の際は、日本の伝統的な空間にふさわしい服装が求められます。敷地内は石畳の通路や、玄関の式台、床などの伝統的な造りとなっているため、歩きやすい靴での訪問が適しています。