
ガイド
釧路湿原は、日本最大級の面積を持つ湿原です。温根内木道は、湿原の西端に位置する温根内ビジターセンター付近から、旧鶴居村営軌道の廃線跡を転用して整備された約4kmの探勝歩道です。このルートでは、湿原内に生息する植物や鳥類を観察する環境にあります。釧路湿原国立公園の特別地域に指定されており、自然保護の観点から開発が厳しく規制されているエリアです。
釧路湿原の形成は、数千年前の気候変動と密接に関係しています。約6000年前、海水面が現在よりも2〜3m高かった時期には、この一帯は大きな浅い湾を形成していました。その後、気温の低下とともに海水面が低下し、内陸部が水はけの悪い沼沢地となりました。そこにヨシやスゲが堆積して泥炭化が進み、約3000年前に現在の湿原の姿になったとされています。
歴史的な調査としては、幕末の1858年に松浦武四郎が釧路川を下り、湿原を縦断した記録が残っています。また、1935年には「釧路丹頂鶴繁殖地」として国の天然記念物に指定されました。戦後、一部の土地が農地や牧草地へ転用されるなどの変化もありましたが、1980年にはラムサール条約登録地となり、1987年には釧路湿原国立公園に指定されました。現在は、自然保護と生物多様性の維持が重要な課題となっています。

温根内木道を含む釧路湿原では、高台にある展望台や遊歩道を通じて、湿原の景観を確認できます。西端にある温根内ビジターセンター付近の探勝歩道では、湿原の植物や鳥類を観察する環境にあります。また、湿原の東端には「細岡展望台」があり、蛇行する釧路川を一望できる地点があります。さらに、JR釧網本線を利用して、列車の中から湿原の景色を確認するルートも存在します。湿原内には、釧路川の景観や、宮島岬、キラコタン岬といった地形が広がっています。
釧路湿原は、季節ごとに異なる景観の変化があります。3月から10月にかけては、植物の成長や鳥類の活動が見られる時期です。特に夏季は、湿原の植物や鳥類を観察する活動に適した時期となります。一方で、冬期は積雪や天候により、木道の通行制限や安全上の理由による制限が発生する場合があります。訪れる際は、最新の天候情報や通行規制を確認することが推奨されます。
湿原周辺では、自然に触れるための様々な方法があります。温根内木道での散策のほか、湿原の景観を別の角度から確認する方法として、カヌーによる川下りがあります。また、JR釧網本線が湿原内を走行するため、列車に乗車した状態で湿原の景観を確認する移動手段も提供されています。特に「くしろ湿原ノロッック号」などの観光列車は、湿原の景観を確認するための手段として利用されています。
湿原の東側には、細岡展望台やビジターズラウンジ、さらにはJR釧路湿原駅があります。また、道道1060号沿いにはコッタロ展望台があり、釧路川の流れや湿原の東側を確認できる地点があります。西側には、温根内ビジターセンターや釧路市湿原展望台が位置しており、これらは湿原の西端エリアにおける拠点となっています。これら周辺の施設や展望台を組み合わせることで、湿原の異なる側面を確認できます。
湿原エリアを歩く際は、足元が木道や整備された歩道であるため、歩きやすい靴が必要です。また、天候の変化が激しいため、雨具や防寒具の準備が推奨されます。湿原内には自動車が通行できる道はなく、観光客は必ず指定された遊歩道を通る必要があります。これは、植物の保護や谷地眼への転落防止を目的としたルールです。