ガイド
桂太郎旧宅は、明治維新後の日本において内閣総理大臣を3度にわたって務め、拓殖大学の創立者としても知られる桂太郎(かつら たろう)の旧宅です。桂太郎は、明治31年(1898年)に陸軍大臣を務め、国事多難な時期に数多くの決断を下した政治家として歴史に名を刻んでいます。現存する建物は、彼が少年時代を過ごしたこの地に、明治42年(1909年)に新築されたものです。派手さを抑えた落ち着いた造りの主屋と、藍場川の自然を活かした美しい庭園が、訪れる人々を穏やかな時の流れへと誘います。
桂太郎は、弘化4年(1847年)に萩城下平安古に生まれ、3歳の時に現在の旧宅がある場所へと移り住みました。藩校である明倫館で学び、戊辰戦争では参務として活躍した経歴を持ち、明治維新後の日本において非常に重要な役割を果たしました。首相在任期間は通算で歴代2位(2,886日)を誇り、近代日本の礎を築いた人物の一人です。この旧宅は、そのような激動の時代を駆け抜けた人物の、生活の拠点としての趣を今に伝えています。
この施設で最も注目すべきは、藍場川の水を引き込んだ「流水式池泉庭園」です。庭園内には桂太郎公の銅像が建っており、自然と調和した景観を楽しむことができます。また、建物の縁側には「水琴窟(すいきんくつ)」が設置されており、地面に埋められた甕(かめ)を通じて響く、澄んだ美しい音色を体験することができます。主屋は規模こそ比較的小さく質素な造りですが、その分、日本の伝統的な生活様式や、自然を愛でる精神が色濃く反映されています。
藍場川の清らかな水が庭園を流れる様子は、季節ごとに異なる表情を見せます。特に、水琴窟の音色を楽しむ時間は、日常の喧騒を忘れて心を落ち着かせるのに最適です。日中の明るい時間帯には、庭園の緑や水の透明感が際立ち、美しい写真撮影を楽しむことができます。
桂太郎旧宅の周辺には、萩市の歴史を象徴するスポットが点在しています。すぐ近くには藍場川が流れ、その美しい景観を眺めながら散策を楽しむことができます。また、歴史的な街並みが残る「萩城城下町」や、吉田松陰ゆかりの「松下村塾」なども近く、萩の歴史を深く知るためのルートとして組み込むのがおすすめです。
敷地内には美しい庭園や歴史的な建物があるため、落ち着いた雰囲気での見学を心がけましょう。ガイドが常駐しており、施設に関する説明を受けることができます。なお、萩市内の他の文化財施設を巡る場合は、萩市文化財施設1日券(310円)を利用すると、効率的に観光を楽しむことができます。