
ガイド
樫野埼灯台は、和歌山県串本町の紀伊大島東端、樫野の断崖に位置する灯台です。1870年(明治3年)に初点灯した、日本における最初期の石造り灯台として知られています。現在は自動点灯の無人灯台として運用されており、灯台内部への立ち入りはできませんが、周囲の園地からは太平洋を一望できる景観を楽しむことができます。また、灯台のすぐそばには、国登録有形文化財に指定されている旧官舎があり、歴史的な建築様式を間近に観察できる貴重な場所です。
この灯台は、1866年にアメリカ、イギリス、フランス、オランダの4ヶ国と締結された「改税条約(江戸条約)」に基づき、建設が約束された8ヶ所の灯台の一つです。設計はイギリス人技師リチャード・ヘンリー・ブラントンが手がけました。ブラントンは日本の近代的な灯台建設に大きく貢献した人物であり、樫野埼はその最初期の建築物の一つです。1890年には、台風の影響でオスマン帝国の海軍艦艇「エルトゥールル号」が座礁した際、生存者がこの灯台へ避難したという歴史的な出来事も記録されています。現在は、灯台の光学系機械装置が機械遺産No.83に認定されているほか、土木学会選奨土木遺産にも選定されており、日本の近代化を象Orする重要な文化遺産です。

最大の魅力は、断崖の上に立つ灯台と、そこから広がる太平洋のパノラマです。2002年には展望台が完成し、灯台の底部から高さ6.5mまでの位置まで螺旋階段で結ばれた構造になっています。ここからは、遠くは太地町の梶取崎まで見渡すことができます。また、灯台のすぐ隣にある「樫野埼灯台旧官舎」は、石造平屋建で寄棟造(よせむねづくり)の様式を持つ建物です。昭和29年に大規模な改築が行われましたが、当初の形態を比較的よく残しており、外装および内装の補修を経て、内部を見学することが可能です。園内には、かつてこの地に常駐していたイギリス人技師が故郷を思い植えたとされる水仙が群生しており、季節ごとにその様子を観察できます。
季節としては、2月頃が特におすすめです。園内には水仙が群生しており、冬の時期には白い花が咲き乱れる様子を見ることができます。日中の明るい時間帯は、灯台の構造や周囲の地形を詳細に観察するのに適しています。また、太平洋の広大な景色を眺めるには、晴天時の日中が最も視界が開けており、遠くの景色まで見通すことができます。
ここでは、歴史的な建築物や地形を観察する体験が中心となります。螺旋階段を利用して、灯台の高さ付近まで登り、視界が開ける感覚を味わうことができます。また、旧官舎の内部を見学することで、明治時代の建築様式や当時の生活の面影に触れることができます。周囲の園地を散策しながら、水仙の群生や、断崖に打ち寄せる波の様子を眺めることも、この場所ならではの過ごし方です。
紀伊大島の東端に位置するため、周辺は自然豊かな海岸線が続いています。近隣には串本町内の他の観光スポットや、南紀熊野ジオパークに関連する景勝地が多く存在します。ドライブや観光の途中に立ち寄りやすい立地となっています。
断崖や階段があるため、歩きやすい靴での訪問が推奨されます。また、駐車場は無料ですが、公共交通機関を利用する場合は、串本駅からコミュニティバスを利用することになります。