ガイド
金屋町は、富山県高岡市に位置する、歴史と文化の香りが漂う美しいエリアです。2012年には、鋳物師町として全国で初めて国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されました。この地は、1609年に加賀藩の藩主・前田利長が高岡の町を開いた際、町の繁栄のために7名の鋳物師を呼び寄せたことから、高岡鋳物発祥の地として発展してきました。現在も、細やかな千本格子(地元では「さまのこ」と呼びます)を持つ家々が軒を連ね、およそ500メートルにわたって続く石畳の道と見事に調和しています。石畳には、銅の破片がハート型や星型に散りばめられており、散策しながらそれらを見つけるのも楽しみの一つです。
金屋町の歴史は、職住一体のスタイルで展開されてきました。かつて鋳物産業は火災の危険があったため、千保川を挟んで城下町と向かい合うこの地に、鋳物工場と宅地が設けられました。個々の敷地は、道路面から順に「母家(ははや)」、その背後に「中庭」、さらに奥に「土蔵」と「作業場」が配置される独特の構造を持っており、火災の延焼を防ぐ工夫が施されています。江戸時代中期には、高岡銅器産業の中心として非常に大きな発展を遂げました。明治維新後も、高岡大仏や各地の銅像、梵鐘の製作を手掛けるなど、日本の近代化を支える重要な役割を果たしてきました。
金屋町には、歴史を肌で感じられるスポットが数多く存在します。
金屋町は、昼間の明るい時間帯に石畳や千本格子の美しさを堪能するのも素晴らしいですが、日が暮れてから訪れるのもおすすめの楽しみ方です。夜のライトアップされた街並みや、鳳鳴橋の鳳凰像は、昼間とは異なる幻想的な雰囲気を醸し出します。また、毎年6月には、前田利長の遺徳を偲ぶ「御印祭(ごいんさい)」が行われます。この祭礼では、鋳物作りの作業唄である「弥栄節(やがえふ)」に合わせて、伝統的な踊りが披露され、歴史的な町並みに活気を与えます。
金屋町では、日本の伝統工芸を直接体験できる機会があります。街の工房では、鋳物の製作体験や、錫(すず)のアクセサリー作りができるお店があり、旅の思い出として自分だけの作品を作ることができます。また、イベント「ミラレ金屋町」などの開催時には、普段は見ることができない町屋の内部でアート作品が展示されたり、石畳の通りに工芸・クラフト作品の出店が並んだりするなど、今と昔が交差する特別な体験が可能です。
金屋町周辺には、歴史的な建築物や文化施設が点在しています。例えば、映画『8月のクリスマス』のロケーション地としても知られる「金屋町金属工芸工房『坩堝(かんか)』」や、歴史的な建築様式を伝える「金森藤平家」など、文化的な価値の高いスポットが近くにあります。また、高岡駅方面へ向かうと、高岡大仏や高岡市内の他の歴史的スポットへのアクセスも良好です。