
ガイド
香川県庁舎は、香川県高松市に位置する行政機関の庁舎群です。この施設は、単なる行政の拠点としてだけでなく、建築学的に極めて高い価値を持つ場所として知られています。特に、世界的建築家である丹下健三によって設計された東館は、日本の伝統的な意匠を現代的な建築技術で表現した傑作であり、国の重要文化財にも指定されています。本館や東館、北館、議事堂などからなるこの建築群は、高松市の中心部において歴史と文化を象行する存在となっています。
この庁舎の歴史は、戦後の日本の建築史を語る上で欠かせません。東館の設計は、当時の金子正則知事が、洋画家である猪熊弦一郎の紹介により丹下健三に依頼したことから始まりました。丹下健三は、近代建築の巨匠ル・コルビュジエが提唱した「近代建築の5原則(ピロティ、屋上庭園、自由な平面、水平連続窓、自由なファサード)」を、日本の伝統的な美意識と融合させる形で設計に取り入れました。東館のファサード(正面)は、日本の伝統的な建築様式である「梁(はり)」の表現を、当時の技術の限界に挑む細さで実現しており、公共建築としての美しさと民主主義の精神を体現しています。令和4年には、その文化的価値が認められ、国の重要文化財に指定されました。
香川県庁舎には、建築や芸術に触れられる複数の見どころがあります。まず、東館の建築構造そのものが大きな見どころです。伝統的な梁の表現を取り入れた美しいファサードや、開放的なピロティ、ロビーの空間構成は、丹下建築の真骨頂といえます。また、東館のロビーには、著名な芸術家である猪熊弦一郎による壁画「和敬清寂」が展示されており、建物自体がひとつの芸術作品となっています。さらに、本館の21階には展望室が設置されており、ここからは高松市街の全方位を見渡すことができます。展示物として、県庁舎の模型や香川県特産のサヌカイト(讃岐石)などが置かれており、地域の文化を知る機会にもなっています。
香川県庁舎は、開庁時間内であれば、日中の明るい時間帯に訪れるのが最も適しています。東館の美しいファサードや、ピロティを通る光の演出、ロビーの壁画などのディテールを細部まで確認するためには、自然光が入りやすい日中の時間帯が推奨されます。また、本館21階の展望室からは、天候や時間帯によって異なる高松の景色を眺めることができます。晴天の日には、遠くまで見渡せるパノラマを楽しむことが可能です。
ここでは、建築と芸術の融合を体験することができます。東館のロビーで猪熊弦一郎の壁画を鑑賞したり、家具のデザインを手掛けた剣持勇の意匠に触れたりと、建物全体に散りばめられた芸術的な要素を確認することができます。また、本館21階の展望室では、高松市の街並みを高い視点から眺めることができ、地域の地理的な構造を理解する一助となります。行政の拠点としての機能と、文化遺産としての側面を併せ持つ空間を、歩いて巡ることができます。
香川県庁舎は、高松市の中心部に位置しており、周辺には多くの施設が集まっています。北側には高松赤十字病院があり、南側には香川大学教育学部附属高松小学校が位置しています。また、徒歩圏内には琴電の瓦町駅や、JR高松駅などがあり、交通の便が非常に良いエリアです。周辺には商業施設や飲食店も多く、行政の用件だけでなく、観光の合間の立ち寄りスポットとしても機能しています。
庁舎内は、一般の方も立ち入り可能なエリアがありますが、行政機関としての性質上、節度ある行動が求められます。服装については、特に決まりはありませんが、公共施設としてのマナーを守り、静かに過ごすことが求められます。また、建物内には展示物や貴重な建築構造があるため、撮影の際は周囲への配慮が必要です。支払いは、庁舎内の施設や駐車場に関して、現金またはクレジットカードが利用可能です。英語での案内や表示も一部存在しますが、基本的には日本語での対応が主となります。