
ガイド
市ヶ谷記念館は、東京都新宿区の防衛省敷地内、薬王寺門付近に位置する歴史的な建築遺構です。この施設は、かつて同地に存在した「1号館」の一部を移設・復元したものです。1937年(昭和12年)に陸軍士官学校本部として建設された建築様式を今に伝えています。かつての陸軍省、参謀本部、そして極東国際軍事裁判の法廷としても使用された大講堂など、日本の近代史における重要な局面を物理的に示す構造物が残されています。
この場所の歴史は、陸軍士官学校の時代から始まります。当初は陸軍士官学校本部として建設されましたが、その後、陸軍予科士官学校本部へと役割を変え、太平洋戦争期には陸軍省や参謀本部(大本営陸軍部)が置かれた中心的な場所となりました。また、戦後には極東国際軍事裁判の法廷としても使用された歴史を持ちます。1960年代以降は陸上自衛隊東部方面総監部として使用され、1970年には三島事件の現場ともなりました。防衛庁本庁の新庁舎建設に伴い解体されましたが、天皇の陸士行幸時に利用された「便殿の間」や、かつての陸軍大臣室であった「校長室」を含む重要な部分が、1998年に現在の場所へと移設・復元されました。

施設内には、歴史的な建築の断片が保存されています。特に、かつての陸軍士官学校の威容を伝える大講堂や、歴史的な儀礼が行われた場所としての建築構造が特徴です。移設された「便殿の間」や「校長室」などは、当時の建築様式や用途を具体的に示す貴重な資料です。これらの空間は、日本の軍事および政治の歴史が交差した場所としての側面を持っています。
市ヶ谷記念館は、防衛省が実施する「市ヶ谷台ツアー」の一環として公開されています。ツアーの実施スケジュールに基づいた訪問が前提となります。平日の日中(午前9時から午後4時まで)が主な公開時間となりますが、ツアーの実施状況により訪問できる内容が異なります。屋外の展示や建築の景観は、天候に左右されにくい構造ですが、ツアーの予約状況を確認することが重要です。
一般の訪問者は、防衛省が公式に実施している「市ヶ谷台ツアー」に参加することで、この記念館を含む市ヶ谷地区の一部を見学できます。このツアーは、単なる建築物の見学に留まらず、日本の防衛や歴史に関する理解を深めるためのプログラムとなっています。歴史的な建造物の内部や、かつての陸軍士官学校の面影を残す空間の構造を確認できる機会です。
施設は防衛省の敷地内に位置しており、周囲には殉職自衛官を追悼するための記念碑が集められたメモリアルゾーンが広がっています。ここには、警察予備隊創設以来の殉職者や、陸上・海上・航空自衛官の慰霊碑が配置されています。また、敷地内の厚生棟には、コンビニエンスストア(ファミリーマート、セブンイレブン)やカフェ(ドトールコーヒーショップ)などの小売・飲食店が存在しています。
防衛省の敷地内という性質上、厳格な管理が行われています。正門には24時間体制で民間警備員および自衛官が配置されており、小銃を携帯した警戒が行われているエリアもあります。訪問の際は、以下の点に留意してください。