
ガイド
日向岬の南端付近に位置する「馬ケ背(うまがせ)」は、日豊海岸国定公園の代表的な景勝地です。最大の特徴は、高さ約70メートルに及ぶ断崖絶壁と、そこに規則的に刻まれた柱状節理の岩肌です。この地形は、約1500万年前の海底火山活動によって形成されたもので、自然の驚異を感じさせる圧倒的な景観を提示しています。海面から見ると岩肌が馬の背中のように見えることから、その名が付けられました。
この地は、地質学的に極めて高い価値を持つ場所です。断崖を構成する岩石は主に溶結凝和岩であり、火山活動の際に流出した溶岩が冷却・収縮する過程で、四角形や六角形の規則的な亀裂(柱状節理)が発達しました。この独特な景観と学術的な価値が認められ、2018年(平成30年)2月13日に国の天然記念物に指定されています。長年にわたり、自然が作り出した造形美の象徴として、地域の人々や観光客に親しまれてきました。

最大のポイントは、整備された遊歩道の先端にある展望台です。ここからは、視界を遮るもののない太平洋の水平線と、目の前に迫る巨大な断崖を同時に見渡すことができます。柱状節理の細かな凹凸や、波によって削られた複雑な海岸地形は、自然の浸食プロセスを物語っています。また、付近には「願いが叶うクルスの海」と呼ばれる、断層によって形成された美しい入り込んだ海岸地形も存在します。
日向岬周辺は、季節によって異なる表情を見せます。晴天の日には、青い海と白い波しぶき、そして黒い岩肌のコントラストが鮮明になります。特に、太陽が高い位置にある時間帯は、岩肌のディテールがはっきりと映し出されます。また、夕刻には太平洋に沈む夕日が断崖を照らし、ドラマチックな景観へと変化します。周囲にはビロウやヤブツバキなどの熱帯・亜熱帯を感じさせる植生もあり、季節ごとの植物の様子も景観の一部となっています。

展望台への道のりは、整備された遊歩道を通る徒歩のルートです。駐車場から展望台までは約6〜7分、あるいは少し離れた灯台側からのルートでは約12〜13分程度の行程となります。自然の造形を静かに眺める散策が基本となります。また、周辺地域では、陶芸体験やそば打ち体験、豆腐づくり体験などの文化体験施設も存在しており、日向市の豊かな文化に触れる機会があります。
馬ケ背の周辺には、観光に役立つスポットが点在しています。すぐ近くには「馬ヶ背茶屋」があり、休憩に利用できます。また、歴史的な景観が残る「細島」地区や、美しい海岸線を持つ「願いが叶うクルスの海」、そして「細島灯台」などが挙げられます。これらを組み合わせることで、日向市の自然と文化を深く知る旅のルートを構成できます。

海沿いの断崖であるため、風が強い場合があります。歩きやすい靴での訪問が推奨されます。また、駐車場や茶屋を利用する際は、現金の用意があると便利です。展望台は24時間利用可能ですが、茶屋などの施設は営業時間があるため、事前に確認が必要です。自然保護のため、ゴミの持ち帰りや、指定された遊歩道以外の立ち入りは控えるなどのマナーを守ってください。