
ガイド
柳之御所遺跡は、岩手県平泉町に位置する、平安時代末期の重要な遺跡です。ここは、奥州藤原氏の繁栄を象徴する政庁・平泉館(ひらいずみのたち)の跡地と推定されています。これまでの発掘調査により、12世紀の平泉がいかに高度な文明を持っていたかを物語る、質・量ともに優れた遺物が多数発見されました。現在は、約5ヘクタールが史跡公園として整備されており、堀や池、道路などの遺構が復元されています。かつての政庁としての威厳を感じさせる、歴史的に極めて価値の高い場所です。
この遺跡は、奥州藤原氏の初代・藤原清衡が、江刺郡豊田館から平泉へ移り、居館を構えた場所と伝えられています。その後、3代目の藤原秀衡によって、政庁である平泉館として再整備されました。歴史書『吾妻鏡』には、無量光院の北に館を構えたことが記されています。しかし、文治5年(1189年)、源頼朝の軍勢に攻められた際、藤原泰衡が自ら火を放ったことで、この地は炎に包まれました。遺跡からは、中国産の白磁の壺や、東海地方の陶製の大甕、さらには当時の生活を物語る大量の「かわらけ」が出土しており、当時の国際的な交易や高度な生活水準を裏付けています。

遺跡の最大の見どころは、発掘調査によって明らかになった、当時の高度な建築・生活遺構です。広大な敷地内には、掘立柱建物跡、巨大な堀、橋、道、そして園池などが復元されています。出土品についても、中国産の陶磁器や、国内初となる磐前村印、将棋の駒などが発見されており、これらは国の重要文化財「岩手県平泉遺跡群出土品」に指定されています。高館の麓から北上川沿いに広がる段丘に位置し、周囲の地形とともに、かつての政庁の規模感を感じることができます。
柳之御所遺跡は、年間を通じて歴史の痕跡を確認できる場所ですが、特に春から秋にかけての、緑が豊かな時期に訪れるのがおすすめです。夏季は、北上川沿いの風を感じながら、整備された公園内を散策することができます。また、日中の明るい時間帯は、復元された堀や池、道路の構造がはっきりと見え、当時の建築様式を理解するのに適しています。

ここでは、単なる景観の確認だけでなく、考古学的な発見に基づいた歴史の理解を深めることができます。復元された堀や池、道路などの遺構を、実際に自分の目で確認しながら、かつての政庁の構造を学ぶことができます。出土品に関する展示や、地形の復元状況を通じて、12世紀の平泉がどのような場所であったのかを、空間的に理解することが可能です。
周辺には、世界遺産の一部である中尊寺や、高館、さらには接待館遺跡、白鳥舘遺跡、長者ヶ原廃寺跡など、奥州藤原氏に関連する重要な遺跡が点在しています。これらを合わせて巡ることで、平泉という地域が持っていた歴史的文脈をより深く理解することができます。また、北上川の景観も近く、周辺の歴史的な景観とあわせて訪れる価値があります。
遺跡公園内は広範囲にわたるため、歩きやすい靴での訪問を推奨します。また、天候に合わせて、日傘や帽子などの熱中症対策、または雨具を用意してください。