
ガイド
日本郵船氷川丸は、1930年に竣工した12,000t級の貨客船です。現在は神奈川県横浜市の山下公園前に係留されており、博物館船として一般公開されています。戦前は北米シアトル航路の主力として活躍し、戦時中は病院船としても運用されたなど、激動の時代を生き抜いた歴史を持ちます。船内には、当時の豪華なアール・デコ様式のインテリアが今も大切に保存されており、日本の近代産業遺産として極めて高い価値を持っています。
氷川丸は、横浜船渠(現在の三菱重工業横浜製作所)で建造されました。1930年の竣工直後、ロンドン海軍軍縮条約の批准書を輸送するなど、国際的な歴史の舞台にも立ちました。また、ハリウッド俳優のチャールズ・チャップリンが乗船したエピソードも有名です。第二次世界大戦中には海軍に徴用され、特設病院船として、また負傷兵や引揚者を運ぶ役割を担いました。その歴史的価値から、2016年には国の重要文化財(歴史資料)に指定されています。

船内は、当時の技術と美意識が詰まったエリアに分かれています。客室エリアでは、フランスのデザイナーによるアール・デコ様式の美しい装飾や、当時の豪華な客室の雰囲気を体験できます。また、乗組員たちの仕事場を紹介するエリアや、氷川丸の歩みを伝える展示エリアも充実しています。さらに、開放的なオープンデッキからは、横浜マリンタワーや山下公園、みなとみらいの美しい景色を一望することができ、海を感じながら贅沢な時間を過ごせます。
季節を問わず楽しめますが、オープンデッキでの景色を楽しむなら、晴天の日が特におすすめです。また、毎日正午になると時報代わりに汽笛が鳴らされるため、その音とともに船の歴史を感じるのも一つの楽しみ方です。また、新年にはカウントダウンの際に汽笛を鳴らす慣例もあり、特別な瞬間を体験できるかもしれません。

単なる見学だけでなく、特別なイベントも開催されています。例えば、現役の船長による「船長ガイドツアー」などが企画されることがあります。また、船上での結婚式や、ビアガーデン、ライブ、パーティなどの催事が行われることもあり、歴史的な船を舞台にした多彩な体験が可能です。日常を離れ、かつての豪華客船の雰囲気を味わうことができます。
氷川丸が位置するのは、横浜観光の拠点である山下公園エリアです。周辺には横浜マリンタワーや、美しい港の景色を楽しめる公園が広がっています。散策の合間に、歴史的な船を眺めながら休憩するのも素敵なプランです。
船内を見学する際は、階段や通路があるため、歩きやすい靴での訪問をおすすめします。また、船内には展示エリアや客室エリアがあり、歴史的な遺産を守るためのマナーが求められます。詳細な予約の要否や、最新の展示内容については、公式サイトでご確認ください。