ガイド
羽黒山杉並木は、山形県鶴岡市に位置する出羽三山(でわさんざん)の一つ、羽黒山の参道です。随神門(ずいしんもん)から山頂へと続く約2kmの道のりは、両側に樹齢350年から500年を数える巨大な杉が立ち並ぶ、圧巻の景観を誇ります。この杉並木は国の特別天然記念物にも指定されており、2009年にはミシュラン・グリーンガイド・ジャポンで三ツ的評価を獲得しました。日常を離れ、自然と歴史が織りなす荘厳な空気の中で、心身を清める体験ができる場所です。
出羽三山は古くから「西の伊勢参り、東の奥参り」と称されるほど、多くの人々が憧れた聖地です。羽黒山は、精神的な「生まれ変わり」を象徴する場所として知られ、古くから山伏(やまぶし)による修行の場となってきました。この杉並木を歩くことは、単なるハイキングではなく、神聖な領域へと足を踏み入れる精神的なプロセスでもあります。地域の歴史的魅力は「日本遺産」としても認定されており、日本の伝統的な精神文化を今に伝える重要な文化遺産です。
杉並木を歩き始めて約10分ほど進むと、巨大な杉並木の中にそびえ立つ国宝「五重塔」が現れます。東北地方で最古の塔と伝えられるその姿は、非常に迫力があります。また、五重塔の左側には、樹齢1000年とも言われる特別天然記念物の「爺杉(じじすぎ)」がそびえ立ち、その圧倒的な存在感は必見です。夏にはライトアップが行われることもあり、幻想的な姿を楽しむことができます。
山頂へと続く道には、合計2446段もの石段が続いています。この石段は一の坂から三の坂まで構成されており、あちこちには盃やひょうたんなどの絵が33個も彫られています。これらを見つけると願いが叶うという言い伝えもあります。道中には「二の坂茶屋」があり、庄内平野を見渡す絶景とともに、名物の力餅で休憩することも可能です。
杉並木を登り切った先には、日本最大級の茅葺屋根を持つ「出羽神社 三神合祭殿」があります。ここには月山・羽黒山・湯殿山の三神が祀られており、山頂まで登るのが難しい場合でも、ここを参拝することで三山の神々にお参りできるとされています。
杉並木は通年で訪れることができますが、季節ごとに異なる表情を見せます。夏には五重塔のライトアップが行われ、夜の幻想的な雰囲気を楽しめます。また、二の坂茶屋の営業は4月下旬から11月上旬までとなっているため、季節に合わせて計画を立てるのがおすすめです。冬期間は、五重塔から先の石段に雪が積もるため、本格的な装備が必要となります。
羽黒山には、古くから伝わる精進料理を味わえる「羽黒山斎館」があります。旬の山菜やきのこ、タケノコなど、山の恵みをふんだんに使った料理は、心身を整えるのに最適です。特に、甘いあんがかかったごま豆腐は非常に人気があります。なお、料理を楽しむには予約が必要です。
杉並木への参拝にあたって、麓の「いでは文化記念館」では、参拝に役立つ道具の貸し出しを行っています。雨や雪に備えた傘や、石段を歩くための杖(有料)、冬場には長靴(無料)などの準備が可能です。また、文化館では法螺貝(ほらがい)の体験(※時期による)なども楽しめます。