
ガイド
福山城は、1622年(元和8年)に水野勝成によって築城された近世城郭です。五層五階地下一階の天守をはじめ、7つの三重櫓、14の二重櫓を配し、二重の堀に囲まれた構造を持っています。最大の特徴は、天守の北面壁一面に鉄板が張られている点であり、これは防御を強化するための全国でも類を見ない意匠です。現在は天守の再建や、伏見櫓、筋鉄御門といった貴重な現存建造物が保存されており、歴史的な景観を維持しています。
築城者は、徳川家康の従兄弟にあたる譜代大名、水野勝成です。彼は大和郡山からこの地へ入封し、約3年をかけてこの城を完成させました。城下には、城の築城を祝う「とんど」と呼ばれる左義長などの文化が伝わっています。明治時代の廃城令により多くの建物が取り壊されましたが、天守や一部の櫓、門などは現存しています。天守自体は1945年の福山空襲で焼失しましたが、1966年に復興整備の一環として再建されました。その後、福山藩の政治の中心として、また現代では福山市のシンボルとして親しまれています。

福山城には、歴史的価値の高い建造物が数多く存在します。まず、全国唯一の鉄板張りを持つ天守閣は、城の象徴的な存在です。次に、文献や刻字によって伏見城からの移築が立証されている「伏見櫓」は、現存する極めて貴重な建物です。また、本丸正面にそびえる正門である「筋鉄御門」や、現在も1日に4回、時の鐘をつく市重要文化財の「鐘櫓」も見逃せません。さらに、城下の様子を一望できる「月見櫓」や、藩主が使用したとされる「御湯殿」、そして古文書の展示・収集を行う「鏡櫓」など、各エリアに独自の歴史的役割を持つ施設が配置されています。
福山城は、季節や時間帯によって異なる表情を見せます。特に夜間のライトアップが行われる時間帯は、ライトに照らされた天守や石垣が、周囲の街並みとともに幻想的な景観を作り出します。また、城の北側を横断する道路は、23:00から6:00まで通行止めとなるため、夜間の移動には注意が必要です。季節としては、歴史的な建造物と自然が調和する時期に訪れることで、より深い歴史体験が可能です。

天守閣内部では、城郭の構造や歴史に関する展示を見ることができます。また、城郭内の各櫓や門を歩くことで、かつての城下町の構造を体感できます。周辺には、福山城の築城にちなんだ「とんど饅頭」などの名物も存在し、地域の食文化に触れることも可能です。また、城の南側にある「御湯殿」などは、藩主の生活様式を伝える貴重な場所となっています。
福山城の周辺には、歴史的な風情を感じられるエリアが広がっています。城の東側には、ホテル「ベッセルイン福山駅北口」があり、窓から天守を眺めることができます。また、南側には「福山ニューキャッスルホテル」があり、客室から天守や月見櫓を含む曲輪の景観を楽しむことが可能です。周辺には、地元の旬の魚を提供する飲食店も点在しており、城郭観光と併せて地域のグルメを楽しむことができます。

天守閣の見学には、階段の昇降があるため、歩きやすい靴での訪問が推奨されます。天守閣の開館時間は午前9時から午後4時30分(10月〜3月は午後4時)までであり、月曜日は休館となります。天守閣以外のエリアは入城自由ですが、夜間の二の丸帯曲輪部分は照明が少なくなるため、足元に注意が必要です。また、城の北側を横断する道路は、23:00から6:00まで通行止めとなります。