ガイド
薩埵峠(さったとうげ)は、静岡県静岡市清水区に位置する、富士山の眺望が素晴らしいことで知られる峠です。標高93mのこの場所からは、雄大な富士山、広大な駿河湾、そして伊豆半島を一望することができます。現代では、東名高速道路や国道1号、JR東海道本線が並行して走る様子も見ることができ、自然と現代の交通インフラが織りなすダイナミックな景観が大きな魅力です。歌川広重の浮世絵『東海道五十三次之内 由井 薩埵嶺』の舞台としても世界的に有名であり、歴史的な情緒と圧倒的なスケールの景色を同時に楽しむことができます。
古くから東海道の三大難所の一つとして語られてきた歴史を持ちます。かつては海岸線が波にさらわれやすく、非常に危険な地形であったため、江戸時代初期までは波打ち際を通る「下道」しかありませんでした。その後、安全な通行を目的として「中道」や「上道」が開削されました。また、地名の由来には諸説あり、鎌倉時代に海岸で漁網にかかった地蔵菩薩を祀った故事に由来すると伝えられています。歴史的には軍事的にも重要視され、足利尊氏や武田信玄といった名だたる武将たちがこの地で戦った記録も残されています。また、和歌の題材ともなっており、日本の文化的な風景としても深い意味を持っています。
最大のハイライトは、整備された展望台からのパノラマビューです。四季折々の表情を見せる富士山を、駿河湾の青い海とともに眺めることができます。展望台にはライブカメラも設置されており、インターネットを通じて24時間365日、富士山の全景や周辺の道路状況を確認できる仕組みも整っています。また、周辺にはミカン畑が広がる斜面や、歴史を感じさせる石碑もあり、自然豊かな環境の中で景色を楽しむことができます。
季節によって景色は大きく変化します。春には梅の花が咲き、秋には美しい紅葉や季節の移ろいを感じることができます。また、時間帯によっては、夜明けの静寂の中で富士山が姿を現す様子や、夜の東名高速道路・国道1号・JR東海道本線が光の帯となって流れる美しい夜景を楽しむことも可能です。写真愛好家にとっては、光の加減が変わる時間帯が特におすすめです。
展望台からの景色鑑賞はもちろん、周辺にはハイキングコースも整備されています。景色を楽しみながら歩くことで、より深く自然を感じることができます。また、周辺の由比地区では、東海道の歴史に触れることができる「東海道広重美術館」や、徳川家康ゆかりの「清見寺」、江戸時代の宿場町の雰囲気を感じられる「由比本陣公園」など、文化的な散策も楽しめます。地元の名物である「たまご餅」や「宮様まんぢう」を味わいながら、旅の思い出を作るのもおすすめです。
薩埵峠の周辺には、歴史と文化が息づくスポットが点在しています。歌川広重の作品をじっくりと鑑賞できる「静岡市東海道広重美術館」や、江戸時代の本陣の跡地を利用した「由比本陣公園」は、歴史ファンにとって見逃せない場所です。また、清見寺では美しい庭園や歴史的な建造物を目にすることができます。これらのエリアを巡ることで、東海道の歴史をより深く理解することができます。
展望台までは車でのアクセスが一般的ですが、駐車場は限られているため、早めの到着をおすすめします。駐車場までの道幅が非常に狭い箇所があるため、運転には十分注意してください。また、ハイキングを楽しむ場合は、歩きやすい靴での訪問を推奨します。大型バスやマイクロバスでのアクセスは、道幅の制限により困難な場合がありますので、事前に確認が必要です。