
ガイド
熱海温泉は、静岡県熱海市に位置する、日本を代表する温泉地の一つです。相模灘に面した美しい海岸線に沿って、多くの旅館やホテルが立ち並んでいます。泉質は、ナトリウム・カルシウム―塩化物温泉が約80%を占め、無色透明で匂いがないのが特徴です。地下の線脈に海水の混入量が増えたことにより、現在は弱アルカリ性の滑らかな肌触りを持つ塩化物泉が多くなっています。1200年もの長きにわたり、安定した温泉供給を続けている貴重な泉脈を有しています。
熱海温泉の歴史は非常に古く、西暦749年頃、箱根権現の万巻上人が、海中に湧く温泉を熱海の中腹へ導いたという伝承があります。江戸時代には、徳川家康が二人の息子と共に熱海を訪れ、湯治を行った記録が残されています。家康が熱海を幕府の直轄領としたことで、各地の大名が参勤交代の折に利用しやすくなり、熱海の知名度が全国的に高まりました。また、江戸時代には多くの文化人が訪れ、多くの紀行文が残されていることも、この地の歴史的価値を示しています。明治時代には、フランス公使や皇族、政財界の重鎮が別荘を構えるなど、日本における近代的な温泉保養地としての発展を遂げました。

熱海温泉には、歴史的な背景を持つ複数のエリアや施設があります。一つは、源泉温度が約78度と高く、毎分約207リットルの湧出量を誇る「網代温泉」です。漁師町の風情が残るエリアでもあります。また、伊豆山神社の霊湯として知られる「伊豆山温泉」では、全国的にも珍しい横穴式の源泉を見学することが可能です。さらに、熱海駅周辺には、駅併設の商業施設や商店街、歴史的な建築物である「起雲閣」などの観光施設が点在しています。また、駅前には無料で利用できる足湯施設「家康の湯」があり、気軽に温泉の性質に触れることができます。
熱海温泉は、年間を通じて温泉を楽しむことができますが、季節によって異なる景観があります。春から夏にかけては、相模灘の美しい海と青空が広がり、海水浴場としての側面も持ちます。秋には、周囲の山々が紅葉し、温泉とともに季節の移ろいを感じる環境にあります。また、温泉施設によっては、日中の明るい時間帯だけでなく、夜間のライトアップされた景観や、夜の静かな時間帯に温泉に浸かることも可能です。日帰り入浴施設を利用する場合は、施設ごとに営業時間が異なるため、事前に確認が必要です。

熱海では、宿泊だけでなく、日帰りでの入浴体験が可能です。多くのホテルや旅館が外来入浴を受け入れており、温泉の成分による効能を体感できます。例えば、塩化物泉は保温効果が高く、慢性的な皮膚病や火傷、さらには慢性的な便秘などへの適応症があることが示されています。また、熱海駅前にある「家康の湯」では足湯を、平和通り商店街にある「福福の湯」では手湯を無料で利用することができ、街歩きの合間に短時間で温泉の成分に触れることができます。
熱海温泉の周辺には、多様な温泉エリアが広がっています。伊豆多賀温泉エリアは、高アルカリ泉を持つ施設があり、柑橘類が実る山々に囲まれた環境にあります。伊豆湯河原温泉エリアは、万葉集にも詠まれた歴史を持ち、単純泉が多く存在します。また、熱海城や初島といった観光スポットも近く、温泉と合わせて周辺の地形や文化を巡るルートが形成されています。これらのエリアは、熱海駅を拠点としてアクセスが可能です。
温泉を利用する際は、以下の点に注意が必要です。